相続した不動産を兄弟で共有名義にして大丈夫?
- 2026.11.06
「実家は兄弟で2分の1ずつ相続すれば公平ですよね?」
相続の際、このように考える方は少なくありません。
確かに、兄弟で同じ持分にすれば、一見すると公平です。
しかし、不動産の共有名義には注意が必要です。
結論
相続した不動産を兄弟の共有名義にすること自体は可能です。
ただし、
「平等だから、とりあえず共有名義にする」
という決め方はおすすめできません。
不動産の共有名義は、将来の売却や管理、さらに次の相続まで考えると、問題が複雑になる可能性があるからです。
不動産の共有名義とは?
共有名義とは、1つの土地や建物を複数人で所有することです。
例えば、父が所有していた実家を兄弟2人で相続し、
- 長男 持分2分の1
- 次男 持分2分の1
とするケースです。
「同じ割合だから一番公平」
と思われるかもしれません。
ところが、不動産は預金のように簡単に2つに分けることができません。
ここが共有名義の難しいところです。
なぜ相続で不動産の共有名義が問題になるの?
大きな理由の一つが、
「自分一人では決められないことが増える」
という点です。
共有不動産全体を売却する場合は、共有者全員の同意が必要です。一方で、管理に関する事項は原則として持分価格の過半数、保存行為は各共有者が単独で行えるなど、行為によって必要な同意が異なります。
つまり、
「兄は売りたい」
「弟は実家を残したい」
となれば、簡単には売却できません。
相続した直後は仲が良くても、10年、20年後まで考える必要があります。
共有名義で特に注意したい3つの問題
① 不動産を売りたいときに意見が合わない
例えば、兄弟で相続した実家が空き家になったとします。
長男は、
「誰も住まないから売却しよう」
と考えます。
一方で次男は、
「親が残した家だから売りたくない」
と考えたとします。
共有不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の合意が必要です。
不動産は「半分だけ家を売る」というわけにはいきません。
これが共有名義の大きな問題です。
② アパートや土地の管理で意見が分かれる
地主の方や不動産オーナーの相続では、さらに注意が必要です。
例えば、
- アパートを大規模修繕する
- 建替えを検討する
- 土地の活用方法を変更する
- 賃貸条件を変更する
といった問題が将来出てくる可能性があります。
共有不動産では、行為の内容に応じて必要な同意の範囲が異なります。2023年施行の改正民法では、形状や効用の著しい変更を伴わない「軽微変更」は持分価格の過半数で決められるなど、共有物の管理ルールも見直されています。
だからこそ、最初から「誰が管理・承継するのか」を考えておくことが重要です。
③ 次の相続で共有者が増える可能性がある
見落とされやすいのが、この問題です。
例えば、
父 ↓ 長男1/2・次男1/2
で実家を相続したとします。
その後、長男が亡くなり、その持分を長男の家族が相続すると、共有関係が次の世代へ引き継がれる可能性があります。
さらに相続を繰り返せば、共有関係が複雑になっていくことも考えられます。
最初は「兄弟2人の話」だったものが、将来は子どもや孫を含めた話になる可能性があるのです。
「共有名義=公平」とは限りません
相続で大切なのは、
「同じ割合にすること」
だけではありません。
本当の意味での公平を考えるなら、
- 誰がその不動産を利用するのか
- 誰が管理するのか
- 将来売却する可能性はあるのか
- 他の相続人には預金などを渡せないか
- 次の相続でどうなるのか
まで考えることが重要です。
例えば長男が実家を相続し、長女には預貯金を多めに相続してもらう方法なども考えられます。
他にも、一人が不動産を取得し、他の相続人へ代償金を支払う「代償分割」という方法もあります。
どの方法が適切かは、財産構成やご家族の事情によって異なります。
相続登記の義務化にも注意
不動産相続では相続登記にも注意が必要です。
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする必要があります。
正当な理由なく義務を怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
また、2024年4月より前に発生した相続でも、未登記の不動産は義務化の対象です。一定の場合を除き、2027年3月31日までの対応が必要になります。
「昔の相続だから関係ない」と放置しないことが大切です。
税理士からのアドバイス
相続した土地や建物を共有名義にすること自体が悪いわけではありません。
しかし、
「分けられないから、とりあえず共有」
は慎重に考えるべきです。
特に、
- 実家
- 賃貸アパート
- 貸地
- 駐車場
- 複数の土地
などをお持ちの場合は、現在の公平性だけではなく「10年後、20年後に誰が所有しているか」まで考えて遺産分割を検討することをおすすめします。
相続税だけでなく、管理や売却、二次相続まで含めて考えることがポイントです。
よくある質問
Q1. 兄弟2人で実家を共有名義にしてはいけませんか?
共有名義にすることは可能です。
ただし、将来の売却や管理、次の相続まで考えて判断する必要があります。
「平等だから」という理由だけで共有を選ぶのは慎重に考えましょう。
Q2. 私の持分だけなら売却できますか?
共有者は自分自身の共有持分を処分できます。
ただし、共有不動産全体を売却する場合は、原則として共有者全員の同意が必要です。
持分だけの売却と不動産全体の売却は別物と考える必要があります。
Q3. 共有名義にしない方法はありますか?
例えば、
- 1人が不動産を相続する
- 他の相続人には預金を相続してもらう
- 代償金を支払って調整する
- 売却して現金で分ける
などがあります。
どの方法が良いかは、相続税、不動産価格、家族構成などによって変わります。
共有名義チェックリスト
次の項目に当てはまる方は、遺産分割を決める前に一度検討することをおすすめします。
□ 土地や実家を兄弟で相続する予定
□ 「公平だから半分ずつ」と考えている
□ 賃貸アパートや貸地がある
□ 将来、不動産を売却する可能性がある
□ 次の世代への相続まで考えていない
1つでも当てはまる場合、不動産の共有名義が本当に最適なのか確認してみましょう。
まとめ
不動産を兄弟で共有名義にすれば、一見公平に見えます。
しかし、共有名義には「売却」「管理」「次の相続」という3つの問題があります。
相続では、今の公平性だけでなく、将来も管理しやすい分け方を考えることが大切です。
ご相談はこちら
「実家を兄弟で共有する予定だけれど大丈夫?」
「土地が複数あるけれど、どう分ければいい?」
「相続税も含めて有利な遺産分割を知りたい」
ご自身の場合はどうなるのか気になる方は、お気軽にご相談ください。
ご家族構成や不動産の状況を確認したうえで、相続税だけではなく、将来の管理や二次相続まで見据えてご提案します。











